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ご挨拶

2024年度 京都教区 教区会(教区門徒会)教務所長挨拶(要旨)

1.はじめに

2024年度当初の教区会(教区門徒会)のご案内を申し上げましたところ、各位におかれましては、公私共にご多端の折にもかかわらずご出席賜りましたこと厚く御礼申し上げます。

また、日頃より、宗門の護持興隆並びに教区・組における同朋会運動の推進に格別のご尽力を賜っておりますこと重ねて御礼申し上げます。

はじめに、本年1月1日に発生いたしました「令和6年能登半島地震」により、大切なご家族を亡くされ、住まいや故郷に甚大な被害を受けられた方々に、心よりお見舞いを申し上げます。このたびの地震により不安な日々を過ごされている全ての方に、一日も早く安穏なる日常が取り戻されることを心より念じております。

2024年7月1日、旧長浜教区と旧京都教区は改編し、京都教区として新たな歩みが始まりました。新教区発足にあたっては、2016年から8年間に亘って両教区間での慎重な協議が重ねられました。非定住社会、少子高齢化、過疎化による人口減少といった著しい社会変化と、家や地域の文化・伝統が継承されにくくなったことによる宗教離れ、寺離れという厳しい時代にあって、持続可能な宗門並びに教区の基礎整備のために、様々な立場からご参画いただきましたすべての方々に心から敬意を表します。

43ヵ組、1068ヵ寺(含む別院)という全国一の組数と寺院数を包含する新教区において、新たな交流が生まれ、ともに教えを聞いていく法友との出合いの場が広がっていくことが願われています。教区の皆様方には、時代社会が変化していく中で、変わることのない親鸞聖人のお念仏のみ教えを、次の世代に受け継ぎ伝えるための組織の再構築に向けた取り組みに、引き続きご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

2.2023年度宗派経常費等の収納報告

2023年度宗派経常費の全国の御依頼は50億2400万円であり、収納額は54億4358万4326円、率にいたしまして108.3%のご収納をいただき全20教区において完納となったことであります。

その内、旧長浜教区における2023年度の御依頼額は6211万円であり、御依頼に対する収納額は7829万4424円、率にいたしまして126.0%の超過完納をいただきました。なお、385ヵ寺に御依頼を申し上げ382ヵ寺にご完納をいただいたことであります。

また旧京都教区における2023年度の御依頼は2億2914万円であり、御依頼に対する収納額は2億7549万4127円、率にいたしまして120.2%の超過完納をいただきました。なお、677ヵ寺に御依頼を申し上げ662ヵ寺にご完納をいただいたことであります。両教区ともに120%を超える超過のご収納を賜りましたことは、各ご寺院の住職・門徒の皆様方の格別のご尽力の賜物と厚く御礼申し上げます。

加えて、1月1日に発生した令和6年能登半島地震に対する救援金の勧募につきましては、昨年度末までで両教区合わせて27,625,725円の救援金をお寄せいただいております。

宗門の活動に深いご理解をいただき、格別の御懇念を賜りましたことに加え、被災された方々に思いを馳せ、救援金を届けてくださっていることに対し、あらためて身の引き締まる思いであります。この場をおかりしてご住職をはじめご門徒の皆様に衷心より御礼申し上げます。

3.2024年度の宗務について

2024年度の宗務執行方針について、主として3点が示されております。

①宗務改革について

行財財政改革検討委員会による約2年に亘る協議の結果「行財政改革検討委員会報告」が内局に提出されました。報告書は宗派ホームページ並びに『真宗』誌8月号にて公開いたしております。

報告書では、将来にわたって持続可能な教学振興と教化推進を基軸とする宗務機構の基本整備をはかるための改革として、「教化改革」「組織機構改革」「財政改革」といった重要課題に対する方向性を挙げ、内局を中心に即時性を高めた形に態勢をあらため、優先順位を明らかにしたうえで段階的に実行していく必要があると提言されております。

これを受け内局といたしましては、今年度より「行財政改革推進本部」を設置し、宗会との緊密な連携をとりながら、重要課題について順次でき得ることから着手してまいります。

また、本年1月に調査を開始した「第8回教勢調査」は、宗門各位のご協力により95.9%の回答をいただいております。今後分析を進め、教団の現在状況を把握し、17教区制となる予定の2026年度以降の宗門を形づくる統計資料として活用されます。

②「是旃陀羅問題の課題共有」について

宗門は正依の経典である『仏説観無量寿経』序分・禁母縁に説かれる「是旃陀羅」の語について、差別を助長する解釈を行い、長年にわたって被差別部落の人々に耐えがたい苦しみを与えてきました。

その責任を重く受け止め、宗門に属するすべての僧侶と門徒が、「是旃陀羅」問題に係る宗門の歴史と課題について共に学ぶことを通して、部落差別をはじめとした現実にある差別問題の克服に繋がるよう学習冊子やテキストを輪読しての学びを継続してまいります。

京都教区においては、昨年度開催の「是旃陀羅」問題に関する教区説明会を受け、まずは教区内における学習推進の体制づくりを部落差別問題に学ぶ同朋協議会を中心に協議してまいります。

③教区慶讃法要について

今年度より各教区において宗祖親鸞聖人御誕生八百五十年・立教開宗八百年慶讃法要が順次厳修されます。京都教区の慶讃法要については、慶讃事業に関する検討委員会から報告書のとおり、広域にわたる京都教区においては教区独自の法要執り行なわず、本山での法要厳修後に各組にて執り行なう方向性で検討することが決定しております。

また、旧長浜教区内における開催方法については現在未定のため、宗祖の御誕生と立教開宗が自らの学びとなるような機会として進めていくことを願い、あらためて10月以降に教区会参事会・教区門徒会常任委員会を中心に協議検討を行い、2025年度中に開催要項をお示しできるよう進めてまいります。

なお、昨年立ち上げられた「真宗本廟を中心としたグローカルデザイン」、「別院の将来構想」、「大谷祖廟総合整備」に関する各宗務審議会については、2024年度中に答申が出される予定であります。

4.能登半島地震支援の現況について

能登半島地震の発災直後より、被災地への宗務役員の派遣を行いながら救援物資の集約・搬送・配布をはじめ、能登教務所に現地災害救援本部及びボランティア支援センターを開設するなどし、可能な限りの災害救援活動に取り組んでおります。

また、宗派見舞金としては、能登教区に対して4,000万円、新潟教区に対して200万円、富山教区に対して100万円、金沢教区に対して200万円をそれぞれ給付いたしました。

併せて被災地支援経費として支援物資等に約3,200万円を支出し、宗派見舞金の給付と合わせて約7,700万円を支出いたしております。

また、950ヵ寺におよぶ被災地寺院の一日も早い復興を願い、本堂・庫裏等の被害に対する第2種共済の速やかな共済金給付に資するため、建物被害の査定に係る業務を速やかに行える体制を整え対応してまいります。

京都教区におきましては、能登教区に対する教化事業支援として救援金の勧募を引き続き実施して参りますので、有縁の方々にお声がけいただき、引き続きのご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。

5.2024年度宗派経常費御依頼について

宗派経常費の全国への御依頼総額については、50億2018万円で、2023年度に比して382万円の減となっております。

今年度の御依頼総額は2019年度以前に比しますと、宗務改革における「教区及び組の改編」により、30教区体制から19教区体制になることで成し遂げられた経費削減により1億3502万円の減額、また教区改編に伴う人件費等の経費削減を根拠として、当京都教区も含め改編を終えた教区に対し総額3431万円の減額がなされております。一方で、2020年度より継続して行ってきた新型コロナウイルス感染症の影響に鑑みた減額措置については、今年度は講じられておりません。

また、2024年1月1日に発災した令和6年能登半島地震で被害を受けた能登教区、新潟教区、富山教区、金沢教区に対し、総額1億1349万円が減免されました。なお、この減免額については、被災教区以外の教区への按分は行われておりません。

したがいまして、2024年度の京都教区への宗派経常費御依頼額は、2億9184万円で、2023年度に比して59万円の増となっております。しかしながら、「門徒戸数調査」による当教区の門徒指数減少に伴う御依頼の減額傾向の中において、2019年度以前(3億1012万円)に比しますと1828万円の減額となっております。

現宗派財政における精一杯の対応策をいたしての御依頼額でありますので、何卒ご理解を賜りたくよろしくお願いいたします。先行き不透明な経済状況の中でありますが、昨年度に引き続き法義相続・本廟護持のご懇念を賜り、ご完納くださいますよう重ねてお願い申し上げます。

6.京都教区の宗務執行方針について

(1)教区教化事業について

教区改編後、初年度となる新たなる体制では、教化本部の中に企画室を設置し、教区全般の教化に関する現況と課題を把握し、課題に対する協議検討を行います。併せて、教区の教化事業を取り組む3つの部会との調整を取るとともに、部落差別問題に学ぶ同朋協議会と所属団体との連携を図り、相互に連動していく教化体制を目指します。また、京都教区教化委員会規則において、旧長浜教区を長浜特区と位置づけ長浜教化センターを設置するとともに、旧京都教区を8つの地区に分け(従来通り)、教区と特区・地区が協働していくネットワーク構築に向け、「特区・地区ネットワーク会議」を新設し、特区・地区、組の緊密な教化の連携を目指すと同時に、長浜教化センターが計画する教化事業との連動を図ってまいります。

(2)門徒戸数調査の継続点検について

中央門徒戸数調査委員会からは、過去4回実施された門徒戸数調査の寺院毎の調査結果数値の推移に、統計資料としての人口動態及び世帯戸数の推移とを重ね合わせた資料を用いて、各教区における継続点検を実施し、第5回調査に向けての環境整備を行っていくことが示されております。

京都教区といたしましては、旧長浜教区と旧京都教区では、調査数値の使用方法について教区会・教区門徒会において議決されている内容に違いがあるため、まず本年度は継続点検の実施方法ならびに予備調査について、教区門徒戸数調査委員会において協議を進め、2025年度の継続調査実施に向けての準備を整えて参ります。

7.京都教区の財務方針について

(1)宗派経常費及び教区費の割当方法について

旧長浜教区の「募財割当等に関する委員会」並びに旧京都教区の「財政委員会」からそれぞれ答申を受け、3月29日開催の新教区準備委員会において全会一致をもって下記のとおり可決いたしました。両教区の割当方法が異なる中において、長期展望に立ち、併せて教区内相互扶助の観点に立ちながら、議論をお纏めいただきました関係各位には深甚の謝意を申し上げます。

まず、宗派経常費については当面の間、旧教区で使用してきた割当基準をそれぞれ用いることとし、教区内に2つの割当基準を設けます。

旧長浜教区においては、門徒戸数調査の設問1のみの合計指数を用いて御依頼をいたします。

旧京都教区においては、2022年度から6年間の移行期間を定め、1門徒指数あたりの宗派経常費御依頼額の平準化(地域格差補正有)を行いながら、門徒戸数調査の合計指数を用いて御依頼いたします。

また、教区費につきましては、教区内同一の基準にて賦課をいたします。御依頼にあたっては、「懇志金の総額が両教区の2019年度の1門徒指数あたりの負担額を超えない」ことを前提とし、教区事業の実施に必要となる教区費総額を算出いたしました。新教区発足後の数年間を想定いたしますと、今後教区事業費会計のさらなる圧縮は必要不可欠な状況となっておりますので、あるべき教区費総額については、今後も教区内の様々な意見を聞き取りながら協議を進め見定めてまいります。

(2)2024年度の予算編成方針について

 2024年度教区事業費会計予算については総額1億3317万9千円で編成致しました。

歳入の部では、前年度の宗派経常費収納額に大きく影響を受ける交付金については、旧長浜教区・旧京都教区ともに120%を超える超過収納をいただきましたことにより、教化交付金は4189万8150円を受け入れることになります。

教区費については、「懇志金の総額が両教区の2019年度の1門徒指数あたりの負担額を超えない」ことを前提として、旧教区毎に賦課基準を設け各組に賦課し、旧長浜教区は旧長浜教区募財割当等に関する委員会の答申に基づき、各寺院へ賦課いたします。

また、将来的な教区会館及び教務支所の大規模営繕に備える積立金として、教区会館護持金を1ヵ寺あたり均等割500円、1門徒指数100円により賦課いたしますので、ご理解いただきますようお願い申し上げます。

次に、歳出の部では、教学費については、教化推進本部 調整協議会において、旧教区の教化の歩みを確かめながら協議を重ね策定された教化事業計画に基づき、一室三部会の事業毎に予算編成いたしました。また、これまで旧長浜教区で大切に引き継がれてきた教化事業を特区事業として継続するため、特区事業への各種助成金も計上しております。

回付金については、新たに財政調整資金回付金を設け、事業費会計における年度間の収支の変動を調整し、財政の安定化を図るために必要な資金として財政調整資金会計に回付を行います。

教区教学研鑽機関特別会計については、旧長浜教区において設置されていた共学研修院を教区の教学研鑽機関として位置づけ、旧教区において策定されていたカリキュラムに基づき2年目を開講いたします。したがって、研修会開催に係る経費や人件費等についても旧長浜教区における予算編成に準じて計上しております。

教区常磐会館特別会計については、歳出の部において、光熱水費や会館設備の保守管理といった定期的な経費に加え、会館屋根面の修復費用を計上いたしました。

8.おわりに

宗派方針及び教区方針の主なものにつきまして申し述べさせていただきました。教区各位のご教示をいただきながら、同朋会運動の推進に尽力いたす所存でありまので、今年度も引き続き、格別のご高配を賜りますようお願い申し上げます。

以 上

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